吉野家とマックをこよなく愛する外資金融マンwww

目的は利他的、されど体裁は利己的。矛盾。くそ。

第19回:マイナス金利に関する解説

もう導入されてしばらくたつけど、やっぱり理解されずに社会人になるのはあれかなぁと思って取り上げます:マイナス金利

 

マイナス金利の解釈はそのまま。

通常お金に預ければその金利分預け額の何%かの利子がつく。マイナス金利ということは-〇%もらえる、つまり〇%払わなくてはいけないということになる。

 

ではここで大事なことは何か?論点は大きく2つある。

 

1.日本のマイナス金利は具体的にどのようなものか?

2.マイナス金利を設定することによってどのような効果があるか?

 

まず日本のマイナス金利は具体的にどのようなものかということだか、ポイントは2つ

 

1.日銀に当座預金のある金融機関が対象になる

2.日銀の当座預金の平均残高を超過した分のみがマイナス金利対象となる

 

まず1についてはそのままである。つまり私たちが銀行にお金を預けて利息を得るように銀行も日銀にお金を預けて利息を得ている。これらの銀行がマイナス金利の対象になる。

2についてだが、これはけっこう大事なポイントである。詳細は省くが、現在銀行は日銀に当座預金として230兆円くらい預けている。もし単純にこれに対してマイナス金利ー1%かかったら2300億くらいの収益ロスになってしまうが、実際この平均残高超過分という制約を設けることによって当座預金のうち、対象となるのは10-20兆くらいになって銀行への影響も限定的になる。

 

次に2つ目にして最も大事な論点である結局マイナス金利によってどのような効果があるか、そして実際いまのところどのような効果が出ているかについてトップダウン式に説明していこうと思う。

 

1.日銀

 

まず目的を端的にまとめると

 

”市場のお金の循環をよくすること”である。

 

つまり基本的な流れとしては

マイナス金利の導入→銀行が日銀にお金を預けなくなる→代わりに企業に投資したり、個人に融資する→企業や人々がお金を使うことになる→景気が上向く→物価上昇

のようになる

 

補足すると、これは日銀の他の金融政策が行き詰っていたという一面もある。

これまでの日銀の金融政策としては量的緩和と質的緩和という二つの策が講じられてきた。量的緩和には日銀が銀行などの国債を買い取ることによって銀行の手持ち金を増やしてそれを企業投資などに運用してもらうという意図がある。一方質的緩和は前述した目的を日銀が買い入れ対象とする金融商品などの幅を広げることによって行おうとする。

 

しかし、これらがうまくいかず、今回日銀はリーマンショック以降、ずっとゼロだった金利に対してマイナスという領域に踏み込んだのである。

 

これとは別にマイナス金利にはもう一つ効果があるが、これが日銀の意図したものであるかどうかは専門家ではないので定かではない。

 

そのもう一つの効果とはずばり

 

通貨安の促進 である

 

のちにそのプロセスを説明するが、自国の金利が下がれば当然それを保有して預けるよりも外国の通貨に換えてより高い利息をもらった方がいい。そうすると自国の通貨を売り、外国の通貨を買うということが起きて結果として自国通貨安となる。

 

ただし通貨の強さというのは非常に多くの要因によって変動するため、これが目的とは考えづらい。また現在の円相場をみても効果がでてるとは限らない(今日時点で108円付近)

 

2.銀行

 

銀行への影響を端的にまとめると、

 

”被害をこうむる”

 

なぜ被害をこうむるか?

当然今まで日銀に預けていればお金になっていたものがなくなるどころかマイナスになる。そりゃあ被害だ。さらにこれはまだ確定的ではないが、マイナス金利によって銀行の多くは企業にお金を貸し出して新たな収益源を確保しなければならない。しかし、そのためにはより貸しやすい状況を作る必要がある。そうすると必然的に金利が下がるはずである。これは(預金へ銀行のつける利子も低くなるので)一概にはいえないが銀行にとっては貸し出しているお金に対して少ない金利がつくのでマイナスになるといえる。

 

3.企業、個人

 

企業・個人への影響を端的にまとめると、

 

”人それぞれである”

 

なぜこうなるか?

 

 簡単にいえば、お金をたくさん預けている人は長期的にみて損する可能性があるし、逆に(住宅ローンなど)資金調達するような人はより安い利息でお金を借り入れることができるのでプラス効果があるといえるからである。

企業についても同様である。

 

もちろんマイナス金利の政策目的が達成されてその結果経済が活性化されれば多くの人が恩恵を受けられるはずなのでそれが達成されるのが1番だが、いまのところその兆しがなかなか見られないのが現実である。