第17回:行動経済学とファイナンス、およびそこにおける投資家の役割
今日は行動経済学的な観点からみたファイナンスおよびそこにおける投資家の役割について触れていこうと思う。
最近必死にバリュエーションとかファイナンスばっかやってるから他の勉強もやらないと(ぼやき)
ファイナンスにおける行動経済学を議論するときに中心となるのが
Efficient Market Hypothesis である。
これを一言で要約すると
“マーケットは正確に情報を反映している”
という主張である。
実際このEfficient Market Hypothesisには“正確に情報を反映する”という文句が指す度合によって主に3つの分類がある。
簡単に説明すると
1.Weak→企業の過去の株価や収益を反映している
2.Semi- Strong→weakに加えて企業のファンダメンタルズ(戦略、財務諸表、性質)なども反映している
3.Strong→インサイダー情報も含む、企業の業績活動に関わるありとあらゆる情報を反映している
現実としてはstrongと思っている人はほとんどいない。逆にstrongが成立しているのであれば、証券アナリストのように株価や企業業績について分析する必要などまったくなく、いわば情報をいかに早く入手するかの勝負になる。ちなみに株価は過去のデータから予測不可能なものであるとするランダムウォークにはこのEfficient Market Hypothesisが背後にある。(つまり予測可能な部分は全て株価に織り込まれているとする考え方である)
しかし参考までにだいたいある情報がマーケットの適性価格として株価に反映されるまでは10分程度しかかからないという研究もある。
裏を返せば、マーケットの情報反映がstrongでないからこそ分析という仕事が成立する面もあるの。
以下株価や企業業績の分析の意義がある理由を行動経済学的な知見とあわせて要約すると
1.情報の非対称性が存在する
証券会社のように分析を専門としているような企業であれば当然一個人よりも情報が多いことが考えられるし、効率もいいと考える。その点では証券会社はそれを生かしてマーケットには反映されていない情報に基づいた分析ができる
(ここから行動経済学的な観点からの議論になるが)
2.必ずしも合理的な選択が行われているとは限らない
ここで注意なのが、必ずしもマーケットにおける選択として合理的でないだけであって別の目的を達成するにあたっては合理的であるかもしれない
3.仮に情報が完全であっても
1.誤った分析を行う可能性がある
誤る理由としては経験則的なバイアス、過信、統計学的な限界(サン
プル数)などが挙げられる。
2.情報解釈の違いがある
情報のフレームワークの方法、解釈の方法によっては同じ情報でも異な
った結果を導く可能性がある。
マーケットの機能ということに関してはこのようにどこまで反映しているかという議論が存在し、その捉え方によって投資家やアナリストの戦略に違いがでてくることを理解してもらえればと思います。