吉野家とマックをこよなく愛する外資金融マンwww

目的は利他的、されど体裁は利己的。矛盾。くそ。

第九回:ブラックスワン(下巻)とまとめ

 

プラトン性のせいで私たち人間は物事を簡略化して自分たちが分かっている以上にわかってると思い込むんだなぁ。そんな統計学はダメなんか?

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こんな考えをもやもや持ちながら下巻へ

 

ブラックスワンの下巻についてだが、引き続き予測の難しさについて。下巻を読んでて思ったのはこの予測の難しさ、それに伴う筆者がプラトン性と呼ぶ人間の性質の産物として誕生したモデルの批判の前提にはの月並みの世界と果ての世界という区分が重要であることがいまさらながらわかった。

 

  月並みの世界とはいわゆるベルカーブなどが適用できる拡張不能の世界を指し、弱いランダム性に左右される。ゆえにひとつひとつの出来事の影響も限定的である。

  一方で果ての世界とは拡張可能の世界を指し、いくらでも物事の上限、下限を拡張することができ、ゆえにひとつひとつの出来事(いわゆる黒い白鳥)が世界全体に絶大な影響を与えうることがある。これは強いランダム性のもとで左右される世界であり、不確実性やリスクがモデルなどによって容易に測れない世界を示している。

 

上巻・下巻をまとめるとこのブラックスワンは自分的には以下のようにまとめられる。

 

1.“黒い白鳥”というのは異常な出来事、その出来事が多大なる影響を与える、その出来事が起きたのちにあたかもそれが事前に予測できたかのようにみなされるものを指す。

 

2.人間には物事をパターン化して複雑な事象を捨象しようとする“プラトン性”という性質を持ち合わせるがゆえに認識的な観点から物事を正確に捉えることに限界がある。

私たちの判断や物の見方が過去に捉われてしまう経験主義論に基づく追認の誤りや人間のプラトン性から物事の因果律を求め、それが過去・現在・未来の出来事に対して普遍的に適用できると考えると仮定をおいて、必要以上の説明をしてしまう講釈の誤りがこれらの代表例である

 

3.上記の人間の性質のゆえに、多くの“黒い白鳥”を見逃しがち、あるいは軽視する傾向がある

 

4.私たちが生きる世界はいくらでも拡張可能な“果ての世界”であり、 “モデル”といったものでリスクや不確実性を測れるほど容易な世界を生きていない。

 

リスクや不確実性というものの捉え方をもう一度考え直さなければならない。要するに現代において“当たり前”だとされる様々な認識手法や仮定に対して懐疑主義的な目線をもち、自らの不確実性やリスク管理を過信してはならない。そんな単純な世界を今の私たちは生きていない

 

 

しかし、この“まとめ”というのも筆者的には言わせてもらえば人間のプラトン性を如実に表した格好の例であり、これでわかった気になるのは大きな間違えである。