第16回:CAPMモデル
今回は現在の金融資本主義が席巻する世の中の基盤ともいえるリスク・リターンについての体系化したモデルであるCAPM(Capital Asset Pricing Model)について紹介する
大事なポイントだけ先に紹介する
CAPMとは何か?
CAPMとは投資や資産評価におけるリスクとリターンの関係性を体系的にまとめたフレームワークである
次に個別株の評価について数式など並ぶが最も大事なポイントは
個別株のリターンプレミアムはマーケットプレミアムベースとしてあとはその株とマーケットとの相関によって決まる
最後にポートフォリオについてだが、最も大事なポイントは
ポートフォリオリターンは構成要因の割合で決定するが、リスクについては組み合わせ次第でリスクが軽減する(構成株の相関から)
先の要約したところで次に個別に紹介していく。
先ほど要約したように3段階に分けて説明する
1.CAPMそのものについて
2.CAPMにおける個別リターンとリスクについて
3.CAPMにおけるポートフォリオリターンとリスクについて
1.CAPMそのものについて
リターンを得るにはそれに見合ったリスクをとらなければならない。これが今の資本主義社会の金融市場における基本的通念として人々のなかに前提してある。
それを体系化したのがCAPM。
このモデルの前提としてはざっくりまとめると
・人々が上述した基本通念を念頭において合理的に行動している
・一個人などによってマーケット全体が影響されることがない(冨の割合てきに)
実際もしマーケットが正確に情報を素早く反映するという前提も成立していれば、金融市場における人々の行動は同じものとなる。そして全員がマーケットが最も合理的なポートフォリオとしてマーケットと同じポートフォリオをもつはずである。(もし裁定機会があればすぐに実行されて均衡状態になるはずだから)
しかし実世界では人々は様々なポートフォリオを組む。というのは必ずしもマーケットが正確に情報を反映するとは限らないなど前提部分で崩れるところがあるからである。
これについては行動経済学的な理論とあわせて別の回に紹介する。
では実際にこのCAPMにあわせてリスクとリターンがどのように株式市場において定義されているかを紹介していく。
個別リスク→第五回で説明したように、過去のデータに基づいて標準偏差σという形で考察していく。
個別リターン
ここで注意することはCAPMモデルは“期待”に基づくものである。
個別株の期待リターンEiは
で与えられる
これはリスクフリーリターンにマーケットのリスクプレミアムをβというパラメーターにかけたものである。
復習すると、リスクプレミアムとは
とるべきリスクを回避して利益の金額を固定するために支払うコストであり、逆をいればこのコスト分のリターンが得られるという考えである(Zero-Sum Gameeを仮定して)
また、βとは個別株がマーケット全体とどれくらい似たような動きをするかのパラメーターである。もし個別株がマーケットとまったく同じ動きをするのであればβ=1だし、マーケットよりもリターンが大きい場合はβ>1となる
このβの算出方法についてだが、以下の式で与えられるとされる
つまり個別株とマーケットの共分散をマーケットの分散で割ったものである。
どうしてこのような式になるかだが、
次にポートフォリオのリスク・リターンについてだが、
リターンは単純に E(prt) = Σωi*E(ri)、つまりポートフォリオを構成する各個別株のリターンを割合で加重平均したものである。
次にリスクについてだが、これは単純な加重平均とはならない。
というのは各々の個別株同士のリスクの相関が存在するからである。
式はそのため次のように定式化される
複雑な式に見えるかもしれないが、要は各々の共分散のウェイトである